国内最大の事業承継・M&Aサイト「TRANBI(トランビ)」が資金調達、事業承継を促進して後継者問題の解決を加速
こんにちは。
魂の事業承継ナビゲーターの鋒山崇です。
2018年8月28日に、オンライン上で事業の売り手と買い手をマッチングする国内最大の事業承継・M&Aサイト「TRANBI(トランビ)」が11億円の資金調達をしたと発表しました。
スタートアップ企業で資金調達がニュースになるのは珍しくないですが、
10億円を超える規模の資金調達が行われる機会はそう多くないです。
そういったなかで、事業承継関連のスタートアップ企業が
10億円を超える資金調達を行えたのは、
出資側も事業承継の社会的課題を感じていて、
事業承継を支えるサイトとして「TRANBI」への期待が高いからでしょう。
今回は「TRANBI」をテーマに紹介してみたいと思います。
「TRANBI(トランビ)」の資金調達
「TRANBI」とはどういったサービスなのか?
「TRANBI」は、現在大きな社会問題となっている事業承継問題に対して、
オンラインM&A という手段を活用して解決すべく運営されている、国内最大の事業承継・M&Aサイトです。
「TRANBI(トランビ)」では、
M&Aの一連のプロセスで最もコストを要するとされる買い手候補を探すプロセスを
インターネット上のオープンプラットフォームを活用することで、
劇的に効率化し、事業承継を促進させようとしています。
2018年7月現在では、
常時400件を超える事業承継(M&A案件)が掲載され、
1案件につき、平均10社の買い手候補を無料で見つけることができるそうです。
「TRANBI」を使っているユーザーは?
企業の買収(M&A)というと、大企業の戦略というイメージがありますが、
事業承継の一つの解決方法として、後継者不在の場合にM&Aの選択肢が検討されます。
「TRANBI」のユーザーは、
一般企業に加えて、M&A仲介業者、会計事務所、
金融機関や「事業引継ぎ支援センター」等の公的機関等が登録しています。
2018年7月末時点の登録ユーザー数は11,066社、累計M&A案件数1,417件、
累計マッチング数5,410件、平均買い手候補社数10社となっています。
上場企業の”敵対的買収”とは違って、
中小企業のM&Aでは友好的M&Aが前提となるので、
オンライン上での交渉も可能になるのだと思います。
交渉の中で、
社名やブランド名を引継ぐ、従業員を引継ぐ、個人保証や担保を含む債務を引継ぐ、
取引先を引継ぐ、など様々な条件について、譲れないポイントを話し合い、
お互いが納得して合意した上で、譲渡(M&A)を決定することになります。
「TRANBI」の運営しているのはどういう会社?
「TRANBI」の運営会社は、M&A仲介業者でも、IT企業でもありません。
事業承継を経験した、地方の事業会社でした。
「TRANBI」の運営会社である株式会社トランビの代表高橋聡社長は
もとは父から承継したアスク工業株式会社(長野県長野市)の社長です。
2010年に代表取締役社長に就任してから、
取引先が毎年3~4件のペースで廃業していく現状を目の当たりにしたそうです。
その中には、オンリーワンの技術を持つ優良企業もありましたが、
後継者がいなければM&Aを検討するしかない中、年商が1億円未満と小さい規模では
M&A仲介会社の案件になりにくいものが多く、廃業せざるを得ない企業も相次ぎました。
そこで、事業承継による廃業から中小企業を救いたいという想いで、
アスク工業の一事業部として、
2011年にインターネット上でのM&Aマッチングサービス「TRANBI」を開始しました。
当初は高橋社長自身も、事業単体で成立することは難しいと考えていたそうですが、
想定以上にニーズがあったため、2016年4月に分社化して株式会社アストラッドを設立しました。
株式会社アストラッドが2018年4月10日に社名変更し、株式会社トランビとなりました。
【会社名】 株式会社トランビ
【代表取締役社長】 高橋 聡
【所在地】 東京都港区新橋五丁目14番4号 新倉ビル6階
【設立】 2016年4月
【事業内容】 M&Aマッチングサービス『TRANBI(トランビ)』の企画・運営、その他関連事業
「TRANBI」の競合サービスは?
「TRANBI」のほかにも、M&Aを仲介するマッチングサービスはあります。
事業承継に特化していないサービスもありますが、
近年にM&Aに関連するサービスが一気に増えた感がありますので、
ここではまとめて「TRANBI」の競合となるサービスとして紹介していきます。
1.「ビジリーナ・サクシード」
CMでもおなじみの株式会社ビズリーチが運営している、
「ビズリーチ・サクシード」です。(2017年11月スタート)
「すべての経営者に事業承継M&Aの選択肢を」
2.「&Biz」
「&Biz」はアンドビズ株式会社が2014年4月より運営しています。
アンドビズ株式会社は、東証一部上場の株式会社日本M&Aセンターの子会社です。
「国内成約実績No.1のM&Aマッチングプラットフォーム」
3.「MAfolova」
人材紹介会社のエン・ジャパン株式会社が運営しているのが、
「MAfolova」です。(2018年5月スタート)
「案件ソーシングを、もっと合理的に。」
4.「M&Aクラウド」
2015年12月のスタートアップ企業が運営しているが、
「M&Aクラウド」です。(株式会社M&Aクラウドが運営)
「M&A業者数No1 匿名でM&A業者を選べます」
5.「FUNDBOOK」
「FUNDBOOK」も2017年8月設立のスタートアップ企業、
株式会社FUNDBOOKが運営しています。
「あなたの未来にM&Aという選択肢を」
6.「M&A市場SMART」
「M&A市場SMART」は東証一部上場の株式会社ストライクが運営しています。
1999年1月に開設され、日本で一番最初のインターネットM&A市場です。
「価値あるM&Aの創出に、まっすぐです。」
7.「M&Aプラス」
グローバルな監査法人でもあるデロイト トーマツ グループの
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社が
運営しています。
元は2016年3月に人材紹介会社の株式会社ディスコのM&Aプラス事業で、
2017年12月に買収して、2018年3月に再スタートさせました。
「M&A実務者らが開発したオンラインM&Aプラットフォーム」
「TRANBI」の強みは?
「TRANBI」の最大の特徴は低コストにあります。
売り手は完全に無償で、
買い手も成約時のみ成約金額の3%を手数料として支払う料金体系となっています。
案件によっては、成約金額1円の案件もあり、手数料が発生しない事例もあるそうです。
また、金銭的な低コストに加えて、
オンライン上で売り手案件をオープン化してユーザー同士でマッチングできる仕組みは、
時間的な低コストも実現しています。
「TRANBI」では、
マッチング後は買い手と売り手のユーザー同士が直接やり取りする仕組みとなっており、
成約までがとてもスピードが早く、
飲食店やWEBサービス等のシンプルなビジネスモデルでは、
成約まで最短3日という事例もあるそうです。
一方で、金額の決定が複雑な案件、たとえば、
有形固定資産を有している等でDD(デューデリジェンス)が不可欠な案件には、
M&Aの支援に実績のある専門家が仲介して、
成約までフォローする体制を整備して、成約に結びつける工夫をしています。
実際に、「TRANBI」で成約に至った案件は、
事例を見ると小規模な案件が多い印象です。
個人が副業として手掛けていた学習塾事業や、
個人エンジニアが開発したWEB系アプリ事業等、個人事業の成約実績も多いです。
財務情報から判断すると難しそうな債務超過事業が、他社で0円評価だったため、
「TRANBI」に登録したところ、買い手の成長戦略を描く上で不可欠な事業として億単位で評価されたり、
従来の仲介者が介在するセオリーでは想定しにくいマッチングが、
オンライン上で自由にユーザー同士がやりとりできる「TRANBI」だからこそ生まれています。
「TRANBI」に掲載される案件情報も、
財務情報等の定量データ以上に、ビジネスモデルや顧客、サービス内容等、
売り手の想いを伝える定性情報を重視しており、
買い手がどのようにシナジーを発揮できるかイメージできるように工夫されています。
「TRANBI」の資金調達、出資した企業は?
「TRANBI」(株式会社トランビ)の資金調達は約11億円で、
SBIをリードインベスターとして、VC含む10社より出資を受けました。
引受先のVCは以下の3社です。
SBI AI&Blockchain 投資事業有限責任組合(SBIインベストメント株式会社のファンド)
西武しんきんキャピタル株式会社
三菱UFJキャピタル株式会社
引受先のM&A仲介会社は以下7社です。
あがたグローバルコンサルティング株式会社
株式会社 アイ・シー・オーコンサルティング
株式会社ストライク
辻・本郷 ビジネスコンサルティング株式会社
名南M&A株式会社
株式会社フォルテワン(アップパートナーズグループ)
株式会社優和コンサルティング(さくら優和パートナーズグループ)